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ママテク(@mamateku)ライターのMeow-Meowです。
筆者は現在育てている第一子を出産する3年前に、中絶手術を経験しました。
稽留流産での掻把(そうは)手術というものでした。
妊娠が分かると、とても嬉しい気持ちですよね。
妊娠が確認されてから出産まで、何事もなく順調にマタニティライフを過ごす人がほとんどですが、何らかの理由で妊娠を継続できなくなってしまう場合もあります。
お腹の中で赤ちゃんの心拍がなくなってしまった場合、赤ちゃんに何らかの異常が発見された場合、母体側の理由により中絶を選んだ場合…。
理由はさまざまですが、手術を受ける女性がとっても辛い思いをするのは同じです。
手術は精神的にも、身体的にも大きな負担になります。
流産…そして中絶手術は誰にでも起こり得るもので、決してめずらしいものではありません。
下にも書きましたが、確率的には10人に1人という割合なのです。
筆者のまわりにも3人ほど経験者がいますが、デリケートなことなので身近な友人が相手でも話せないこともありますよね。
辛さを話せる相手がいない、ましてや経験者に話を聞く機会もない。そんな人が多くいるのではないでしょうか。
そこで筆者が実際に体験した、流産発覚から手術の流れ、そして術後の経過をまとめてみました。
こうすればよかったと思った点なども書いてみましたので、少しでも参考にしていただければ嬉しいです。
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パッと読むための目次
中絶手術とは?
「中絶」と聞くと一般的には倫理的なマイナスイメージが先行しますが、医学的にはお腹の中で亡くなった赤ちゃんを外に出してあげる手術も「中絶」といいます。
- 人工妊娠中絶
- 自然妊娠中絶(いわゆる流産)
手術は妊娠初期の12週までに行います。
それ以降は赤ちゃんが大きくなってくるので陣痛を起こしてお産をするという方法になり、22週からは中絶は行えません。
では、中絶手術をするのはどんなときでしょうか。
流産した場合
お腹の中で赤ちゃんが亡くなってしまった場合、外に出してあげるための手術が必要です。
流産はすべての妊娠の1割程度の確率(つまり10人に1人)で起こっているとも言われ、誰にでも起こる可能性があります。
妊娠週数に応じて、早期・後期・死産と呼びかたが変わり、とくに妊娠初期に起こる早期流産は全体の8割以上を占めているそうです。
この妊娠初期の流産は、多くが赤ちゃんの染色体異常などの「回避できない」原因によるものです。
そのほか、母体側の原因としては、子宮頸管無力症や子宮内膜症などがあります。
いずれも、妊娠しないと分からないことが多く、予防できないことがほとんどです。
胎児異常の場合
妊娠初期で分かる赤ちゃんの異常は、それほど多くありません。エコーで内臓の形などが分かってくるのはもう少し大きくなってからです。
しかし、水頭症や発育不良などはっきり分かるものもいくつかあるようです。
このような異常だと、赤ちゃんにとっては危篤な状態の場合が多く、子宮内でそのまま亡くなってしまうケースが多いといわれています。
もし赤ちゃんに異常があると分かった場合、経済的な理由や子どもの将来を考えて中絶を選ぶ方も少なくありません。
お医者さんから妊娠継続をすすめられないと言われる場合もあります。
ですが、母体保護法という法律では、中絶は母体の身体的・経済的理由で行うとされています。
胎児異常がそれに該当するという解釈をしているお医者さんもいますが、そうでないお医者さんの場合は「産まれた途端に亡くなってしまうだろう」と分かっていても中絶を認めてもらえないこともあります。
母体に原因がある場合
上の二つのほかに、ママ自身に病気が見つかった場合や、出産で負担がかかると母体に危険だと判断された場合があります。
まだ妊娠初期だと実感がわかないかもしれませんが、妊娠・出産は女性にとってかなりの負担になります。
筆者も臨月になると苦しくて夜寝ているときに毎晩「このまま死ぬんじゃないか」と思っていました。
出産はその比ではありません。本当に命がけなのです。
【筆者の体験談】9週目、稽留流産と診断。
筆者が流産の診断を受けたのは、9週目でした。
その日は、一か月に一度の妊婦健診。前回、初めて赤ちゃんの心拍をエコーで診て、嬉しさと愛しさでいっぱいでした。
しかし、この日先生から告げられたのは「赤ちゃんの心拍が確認できない」ということ。
まず思ったのは、
前回言われた「赤ちゃんの心臓ですよー」とほぼ同じトーンだったので、何かの聞き間違いかと思ったほどでした。
でも、パパやママにとって赤ちゃんが亡くなっているという事実は衝撃的ですが、産科医にとっては「稽留流産」という診断を下す仕事に過ぎないのです。
それに、平等に妊婦さんに接するよう、どんなときも感情を出さないように努めているのだと後から気付きました。
一度待合室に戻され、再び別室に呼ばれてから、稽留流産についてや今後の処置について事務的に説明を受けました。
中絶手術スケジュール
手術は一週間後の平日に決められました。
赤ちゃんが亡くなっているのですから、すぐにでも手術するのかと思っていたので、一週間というのがとても長く感じました。
手術の日程は、ベッドの空き具合や、先生のスケジュールによって決められます。
筆者の通っていた病院は規模が小さく、先生が一人しかいなかったため、一週間先になってしまったのだと思います。
また、土日や夜間は病院スタッフが少ないため、平日の昼間に行うことが多いようです。
問診・血液検査
手術にあたり、問診と血液検査があります。日を改めてする場合もあります。
看護師さんから、病歴やアレルギーなどを聞かれます。
全身麻酔を使うことでリスクも伴うので、正確に伝えておくことが重要です。
血液検査は、さまざまな病気の発見に役立ちます。手術に携わるスタッフの感染や、院内感染を防ぐためでもあります。
流産の種類
流産というと「流れる」と書きますが、赤ちゃんが流れ出てしまうのではなく、お腹の中で亡くなっている場合も多いです。
この場合を「稽留流産」といいます。
自覚症状はなにもなく、健診で指摘されて初めて気づくというパターンがほとんどです。
ちなみに、赤ちゃんがまだお腹の中にいるので、流産と診断されてもつわりが続いている場合もあります。
他には、子宮口が開いて赤ちゃんが外に出てしまうこともありますが、こちらは陣痛にも似た痛みや出血があるので気づくことができます。
健診で子宮頸管が短くなっていることが分かると「切迫流産」と診断され、赤ちゃんが外に出てしまうことを防ぐために自宅での安静や入院をすすめられます。
稽留流産の処置
赤ちゃんがお腹の中で亡くなっているので、できるだけ早めに外に出してあげる必要があります。
放っておくと、痛みや出血の可能性があります。
赤ちゃんはまだ小さいため、お医者さんが子宮内に専用の器具を入れて出してくれる手術をします。胎盤なども一緒にかき出します。
この手術は「掻把手術」といわれます。
だいたい日帰り~1泊の入院で、全身麻酔なので寝ているあいだに行います。手術の痛みはほとんどないことが多いです。
12週を過ぎるとこの手術はできませんので、陣痛を起こして「産む」という方法がとられます。
中絶手術の費用
病院によって異なりますが、手術自体は10万円前後~15万円くらいが多いようです。
医療保険が効くので、自己負担額はこれの3割です。実質3~5万ほどと考えていいと思います。
その他、病院で出る食事内容や個室か大部屋か、また日帰り入院かどうかによっても金額に差が出てきます。
差額ベッド代など保険適用外のものもあるので、注意が必要です。
筆者は日帰り入院でしたが、大部屋じゃなくて良かったと思いました。
もし、大部屋なら切迫流産などで入院しているほかの妊婦さんと一緒の部屋かもしれない。
手術で赤ちゃんがお腹からいなくなったのに、一緒の部屋にいるお腹の大きな妊婦さんと過ごさなければならないとしたら、それは地獄だなと感じました。
あくまで筆者の感じ方ですが、何日か入院が必要でベッド代がかかるとしても、絶対に個室を選ぶと思います。
【筆者の体験談】中絶手術の流れ
筆者が実際に体験した、中絶手術の流れを書いてみました。
前日処置
手術前日に病院へ行き、子宮口を広げる処置をします。
ラミナリアという細長い棒のようなものを入れると、周りの水分を吸収して膨らみ、子宮口を広げてくれます。
これは海藻から作られたものだと教えてくれました。
妊娠週数に応じて(赤ちゃんの大きさに応じて)本数が変わってきます。
初期は1本からですが、中期になると10本も挿入する場合もあるようです。
これが、すごくすごくすごーく痛かったです。
筆者は当日の処置だったので、挿入したところは当日の流れに書きました。
前日の夜9時以降は絶食、当日朝からは水も飲めません。
手術のときに吐いてしまい、のどにつまる恐れがあるからです。
当日~準備
朝八時に来てくださいと言われたので、その時間に病院へ。受付が始まる前なので、ほかには誰もいませんでした。
朝早いのは、ほかの妊婦さんに会わないようにとの配慮かもしれません。
個室(といっても、入院設備のないクリニックだったのでベッドは2台しかありませんでしたが)に案内され、入院着に着替えて待ちます。
付き添いの人は待合室までしか入れません。
筆者としては家族にそばにいて欲しかったのですが、分娩施設ではなくレディースクリニックなので仕方ありません。
当日~前処置
処置室に呼ばれ、下着を脱いで経腟エコーでも座った内診台へ。
エコーを見せてくれ、「写真持ち帰りますか?」と聞かれました。
これが最後のわが子の姿かと思うと涙が出てきましたが、筆者は引きずりそうだったので「いりません」と答えました。
このときの赤ちゃんは、人の形に近づいてきている段階ではありますが、もちろんエコーでは何がなんだかわかりませんでした。
ただ、心臓が動いていないことだけは分かりました。もしかしたら動いているかも……と少し期待をしていたのですが。
子宮口を広げるラミナリアを挿入するのですが、これがものすごい痛みでした。
グリグリグリと挿入される痛みに『我慢しなきゃ』と思い、耐えていると「やめましょう」と言われました。
知らないうちに内診台を握りしめ、脚に力が入って腰から背中まで浮いてしまっているし、汗びっしょりでした。
「麻酔をしてから開きましょう」と言われましたが、そんな方法があればはじめからそうしてほしかったと思いながら、半ば放心状態でベッドに戻りました。
当日~手術
点滴をされ、少し待っていると、再び処置室に呼ばれました。
さっきとは打って変わり、内診台はカーテンが取り払われ、たくさんの人とたくさんの器具が置いてありました。内診台に座ると、緊張感が高まってきます。
血圧計や心拍計がつけられ、看護師さんがモニターを確認します。別の看護師さんが酸素マスクをつけてくれました。
まず、点滴から麻酔薬が半分だけ入れられます。身体がふわっと軽くなったような気がしました。
「気分はどうですか?」と聞かれましたが、答られたかどうかわかりません。
「残りの麻酔入れますねー」と言われ、数を数えていたような気がしますが、そこで記憶は途切れました。
当日~術後
内診台に座ったままの状態で目覚めました。1時間ほど経っていたので、その間、開脚したままだったようです。
周りでは、看護師さんたちがまだ後片付けをしていました。
『え?呼吸?それは大事じゃないか』と思いましたが、麻酔で眠っていたので知る由もありません。
支えられながら、ベッドに戻りました。
まだ意識がもうろうとしているので、点滴がぽたぽた落ちているのをぼーっと見ていました。
お腹に手を当て、もうここに赤ちゃんはいないんだな、と思いました。
やがて意識がはっきりするにつれ、悲しさが押し寄せてきて、涙が出てきました。
スマホを取りだし、夫に無事終わったことを連絡しました。
駐車場の車の中で待機しているとのこと。ブラインドを開くと、夫の姿が見えました。なんだかほっとしました。
当日~退院まで
トイレは点滴を引きずって行きました。
前述しましたが、入院設備のないクリニックだったので、ベッドのある部屋から出て外のトイレに行かなくてはなりません。
誰にも見られたくなかったのですが、廊下で診察室から出てきた妊婦さんらしき人と会ってしまいました。
なんだか悔しくて仕方ありませんでした。
点滴が終わり、何か持ってきているなら水や軽食を食べてもいいとのこと。
ベッドの上でミネラルウォーターとカロリーメイトを食べました。味がしませんでした。
夕方になり、先生が来て体調を聞かれ、帰宅許可が出ました。
診療時間が終わったので夫は待合室で待っていました。支払などは済んでいたので、病院をあとにしました。
夫に会い、車に乗ったことで安心したのか、猛烈にお腹がすいてきました。
コンビニに寄ってもらい、コロッケとおにぎりを買い、ぺろりと食べてしまいました。
全身麻酔で手術をした当日とは思えない食欲に、自分自身で驚いてしまいました。
人によっては、麻酔の副作用で震えや吐き気が出ることもあるそうです。
そのほか、頭痛なども出ると聞いていたので覚悟していましたが、良い意味で裏切られました。
術後のケア
筆者の場合、出血はそんなに多くありませんでした。軽い日用のナプキンで済んだほどです。
人によっては生理の多い日くらいの出血があるようです。
それ以上の出血になると、子宮内に胎盤などの細胞が残ってしまい出血している可能性があるので受診したほうが良いとのことです。
処方される薬は、
- 抗生剤
- 子宮収縮剤
- 解熱鎮痛剤
子宮の収縮は、子宮内に残っている血液などを排出し、傷をふさぐ役割を果たしています。
弱いと出血が多くなってしまいますので、子宮の回復を助けるためにも子宮収縮剤は飲みましょう。
解熱鎮痛剤はロキソニンなどが処方されます。
当日は麻酔が効いていたのか、痛みは翌日の明け方にやってきました。生理痛に似た痛みでした。
もともと生理痛は重い方でしたが、今まで経験したことのない激痛に襲われました。
二日目は、痛み止めを飲みながら寝ているだけでした。夫の存在が心強く感じました。
流産での中絶手術でこうすればよかった点
流産での中絶手術を経験し、筆者が感じた「こうすればよかったなあ」という点や「これは大事だった」と思えた点を書き出してみました。
- 家族の付き添いが可能な病院で手術を受ければよかった
- 医療保険(女性特約)に入っていてよかった
- 妊娠が分かった時点で、心の準備が必要
筆者は、妊娠を調べるためにかかった病院(クリニック)で妊婦健診も受けていました。
健診は分娩する施設でなくても受けられます(ただし早産の可能性がある32週以降は分娩予定施設で受けるようにと言われます)
筆者は当初、里帰りするかどうか考え中で、分娩をする産院をなかなか決められなかったため、決まるまではクリニックに通おうと思っていました。
しかし、クリニックは産科専門ではないのでさまざまな悩みを持った女性が訪れるため、基本的に男性は立ち入り禁止のところが多いのです。
そのため、手術時も付き添いはNG。
ひとりで手術に耐えるのは、心細かったです。
手術だけでも分娩施設で受ければよかったのかなあと思いました。
流産による手術では、医療保険から給付金が出る場合が多いです。
通常の手術や入院の給付金に加え、筆者の入っている保険会社からは「女性特有の疾患」の対象になり合計20万円ほど給付されました。
これから妊娠出産を予定している方は、ぜひ医療保険に入っておくことをおすすめします。
つわりや切迫流産での入院、帝王切開のときも役立つはずです。
妊娠出産は、幸せなことばかりではありません。
喜びが大きい分、何かあったときの悲しみも深いといえます。
筆者はそう思っていました。妊娠すれば、何事もなく出産できるだろうと信じておりました。
しかし、妊娠した時点で何かあったときのために心の準備はしておいた方がいいと感じました。
まとめ
筆者は流産してから少し臆病になってしまい、子どもを育てる自信がなくなっていましたが、友人の産まれた赤ちゃんを見るたびに癒されていきました。
そして2年後に、再び新しい命を授かることができました。
その命は、今横で元気に遊んでいます。あの経験があったからこそ、無事に産まれてきた子をもっと大事に思えるような気がします。
この腕には抱いてあげられませんでしたが、確かに一度はお腹の中に宿っていて、きっとこれからはお空で見ていてくれるだろう。そう思って子育てをがんばっていこうと思います。