Meow-Meow
最新記事 by Meow-Meow (全て見る)
- 妊娠が分かったらやるべきこと。受診の目安や手続きの流れ、周りへ報告するときに気をつけることなどまとめました - 2019年4月26日
- 【妊娠超初期~臨月まで】つわり、便秘、眠気…妊娠中の「つらい」を乗りきる方法まとめ - 2019年3月11日
- サイズアウトした子ども服・ベビー服はどうする?「捨てない」わが家の活用法6つ - 2019年2月27日
ママテク(@mamateku)ライターのMeow-Meowです。
筆者は第一子を緊急帝王切開にて出産しました。このときわが子は、新生児感染症の疑いのためNICUに入院となりました。
NICUは「新生児集中治療室」と呼ばれ、産まれたばかりの赤ちゃんの治療を行います。
たびたびテレビで取り上げられることもあり、知っている方も多いとは思いますが、実際に入ったことのある方は少ないと思います。
- NICUはどんなところ?どんな状態になれば入院になる?
- NICUの面会は?ママ以外も会いに行けるの?
- NICUの入院費用は?高い?
わが子のNICUへの入院が決まったとき、筆者は「まさかうちの子が!?」と思いました。
しかし、黄疸や新生児感染症などに罹る赤ちゃんは意外と多く、筆者の周りでも2~3人経験者がいます。
もしうちの子がNICUへ入院になったら…いざと言うときに慌てないために、入院決定~退院までのレポートを今回は書いてみました。
これから出産される方に予備知識として読んでもらえたらと思います。
パッと読むための目次
NICUにはどんな赤ちゃんがいるの?
パパとママが待ちに待って産まれてきた赤ちゃん。どんな場合にNICUへと入院することになるのでしょうか。
さまざまなリスクを抱えていたり、治療が必要な赤ちゃんが入院していますが、主に以下のようなケースが挙げられます。
- 早産などの低出生体重児
- 黄疸や合併症などを発症している場合
- 呼吸・循環器障害や仮死で産まれてきた場合
なかには600~700g台で産まれた、ちいさな赤ちゃんもいます。
【スポンサードサーチ】
短い週数で産まれた赤ちゃんは、皮膚や身体が未発達のため、子宮の外の環境に対応することができません。
NICU(新生児集中治療室)と聞くとなんとなく物々しい感じがして、チューブや機械にたくさん繋がれた赤ちゃんがいるようなイメージがあるかもしれません。
テレビドラマやドキュメンタリーで重症の赤ちゃん、重大な疾患のある赤ちゃんを見たことのある方もいるでしょう。
しかし、実際のNICUは重症な赤ちゃんばかりではありません。
わが子の場合、産まれた直後からとても元気よく泣き、ミルクもたくさん飲んでいて、一見しただけでは健康な赤ちゃんそのものでしたが、血液検査の結果により「念のため」NICUへの入院が決まりました。
- 今は元気だけど、今後具合が悪くなる可能性がある
- 体調が急変してしまう可能性がある
そんな赤ちゃんを信頼できる専門スタッフのいるNICUで様子を見てもらうケースも多くあります(軽症の赤ちゃん専用の病室をGCUと呼ぶ病院もある)
もちろん、血液検査の結果が正常に戻り、何事もなく数日で退院できる赤ちゃんもたくさんいるのです。
NICUってどんなところ?
NICUには、わが子のような軽度の症状の赤ちゃんから、生命維持装置をつけた重症の赤ちゃんまで様々な状態の赤ちゃんが入院しています。
さまざまな症状の赤ちゃんに対応するため、小児科や産科とは別のNICU専門スタッフが24時間体制で常駐しています。
NICUは厚生労働省の基準によって設備や人員が厳しく定められており、全国に300施設ほどあります。
主な特長は、
- 小児科医や産科医ではない、専門スタッフで運営
- 赤ちゃん専用の保育器、人工呼吸器、モニターなどの設備
- 一人の看護師が担当する赤ちゃんは3人以下
保育器の中は、温度や湿度、酸素濃度が常に適正に保たれています。
また、赤ちゃんのいる部屋は照明が暗めに設定されており、赤ちゃんはまるでママのお腹の中にいるかのような環境で過ごしています。
NICUは赤ちゃんにとって一時的な場所ですが、産まれたばかりの赤ちゃんが初めに過ごす場所。ママにとっては、きっと思い出深い場所となるでしょう。
実際のNICUは想像していたよりも、明るくて、優しくて、温かい、ママのお腹の中のような場所でした。
GCUとの違いは?
NICUは聞いたことがあっても、GCUというのは聞いたことがないという人も多いと思います。
同じように赤ちゃんを治療する施設なのですが、どう違うのでしょうか。
GCUは「継続保育室」といわれ、簡単にいえばNICUを卒業した赤ちゃんや、軽度の症状の赤ちゃんが入院しています。
はじめからGCUに入院が決まる軽症の赤ちゃんもいれば、重症でNICUに入ったけど状態が回復してGCUへと移る赤ちゃんもいます。
NICU、GCUと明確に分けられて、別々のスタッフで運営されている病院もありますが、NICUの中に軽症の赤ちゃんエリアとしてGCUが併設されていている病院もあります。
後者の場合、軽症であってもお医者さんからは「NICUに入院になりました」と説明されることが多いです。
わが子もNICUでしたが、面会に行くとそこは明るくにぎやかだったので、NICUの中のGCUだったのだろうと筆者は思っています。
NICUの面会ルールは?ママ以外も会いに行けるの?
では、そんな厳しく管理されているNICUに入院してしまったら、ママは赤ちゃんに会うことはできるのでしょうか。
答えは「いつでも会える」です。
基本的に、産まれたばかりの赤ちゃんにとっては昼も夜もありませんので、NICUは24時間いつでも入れるところが多いです。
ママの体調や授乳のタイミングにも合わせられます。
しかし、決められたルールは守らないとなりません。
- 面会はパパ、ママのみ
- 手荷物は持ち込み禁止。ロッカーへ
- 入る前に手洗いと消毒
どこのNICUでも、上記のルールは最低限でも設定されているようです。
またルールではありませんが、マナーとして「NICU内では騒がないこと」です。
前述したように、さまざまな赤ちゃんが入院しており、面会に来ているママやパパの中にもさまざまな感情を抱えた方々がいらっしゃいます。
まだ赤ちゃんの病気を受け入れられず辛い気持ちの方、おだやかに赤ちゃんの寝顔を見ていたい方などもいます。
大きな話し声はもちろん、派手な笑い声や、カメラのシャッター音にも配慮が必要です。
保育器から出られるくらいの軽症の赤ちゃんやGCUなら祖父母も面会OKという病院もあるようです。
また、写真を残したいという方のために、カメラや携帯電話は持ち込みOKのところが多いようです。
赤ちゃんが頑張っている姿を、ぜひ写真におさめて残してあげたいですよね。
保育器に入っていて、呼吸器や栄養チューブがつけられている赤ちゃんでも容体が安定していれば抱っこすることができます。
これを「カンガルーケア」といって、ママやパパが胸に抱いて直接肌と肌を触れ合わせます。
抱いているうちに赤ちゃんのバイタル(心拍数や呼吸などの生命兆候データ)が安定し、回復が早まるそうですよ。
怖がらずにたくさん抱っこしてあげるといいと思います。
- 授乳、ミルク
- 抱っこ(カンガルーケア)
- おむつ替え
- 沐浴
普通の赤ちゃんのお世話と変わらないですよね。
母乳が出るようになったら、搾乳して届けるのがママのお仕事になります。
おむつ替えや沐浴も教わりながらさせてもらえます。
1日に何度会いに行ってもいいですし、時間の許す限り何時間でも一緒にいてあげてもいいのです。
個人病院などで出産し、赤ちゃんだけNICUのある別の大きな病院へ入院となるケースもあると思いますが、その場合もママの外出許可が出れば入院中に面会に行くことができます。
産まれてすぐにママから離され、NICUに赤ちゃんが入院してしまうと、とっても寂しいと思います。
不安にもなりますが、もっと寂しくて不安なのは赤ちゃんなんです。
ママが来てくれるだけで、安心しますよ。できるかぎり、会いに行ってあげてくださいね。
NICUの入院費用は?退院手続きは?
これまで書いてきたように、NICUでの赤ちゃんは高度な医療によって看護されています。
したがって、入院費は高額になります。長期にわたれば数百万円にのぼることもあります。
しかし、この負担がなくなるように現在の日本の制度でしっかり保障されていますので安心してください。
きちんと申請さえすれば、医療費は各市町村などが負担してくれます。
では、保障制度の種類と申請方法について、簡単に説明していきたいと思います。
健康保険
出生手続のなかで、出生届と並んで大切なのが赤ちゃんの健康保険の加入手続きです。
パパ(またはママ)の会社に連絡すればやってくれるというところが多いです。
扶養家族を追加するための申請書類に記入し、会社を通じて健康保険組合へ提出すれば保険証がもらえます。
期間は1週間~1か月と会社によって差があります。
下で説明しますが、他の医療制度を申請する際に保険証が必要となりますので、産まれたらすぐに手続きするようにしましょう。
未就学児であれば、健康保険の自己負担割合は2割です。
大人よりは少ないですが、NICUでの入院だと自己負担が数十万になるケースもあります。とても窓口で払える金額ではありません。
しかし、このあと説明するほかの医療制度を合わせて利用することで、ほとんど負担がゼロに近くなります。覚えておきましょう。
未熟児養育医療制度
この言葉を初めて耳にすると言う方もいるかと思います。
基本的には2000g以下で産まれたり、身体の発達が未熟な赤ちゃんに対して適応されます。
おむつ代やベッド代などを除き、入院費用全般(ミルクなどの食事療養費も)が全額対象となります。
保護者の所得が高いと、一部自己負担となる可能性もあるようです。
ですがその分についても他の制度でまかなうことができます。
対象期間は赤ちゃんが自力で生きていけるようになるまで、年齢としては1歳までの制限があります。対象となるかどうかは、病院のスタッフに聞いてみてくださいね。
意見書(病院で記入してもらいます)
世帯調査所
赤ちゃんの保険証、印鑑など
必要書類を市役所など担当部署に提出します。ほか、所得証明などが必要な場合もあります。
必要な書類は自治体によって異なりますので、出生届を出す際に「未熟児養育医療制度を利用したい」と伝えると、必要書類や説明が受けられます。
申請期限(生後2週間くらい)があるので、なるべく早めに申請しましょう。
乳幼児医療費助成制度
「こども医療費助成制度」や他の名前でもよばれています。
新生児だけではなく、子どものうちにかかった入院費や外来診察料、薬代などを市町村が負担してくれる制度です。
対象となる年齢や医療の種類などは、各自治体によって異なります。
ほとんどの医療費が全額タダになる市町村もあれば、1回につき500円のみ自己負担などという市町村もあるようです。中学卒業まで対象になるところもあります。
ほかの制度と併用できるので、健康保険証や未熟児養育医療制度でまかないきれなかった金額をこの「乳幼児医療費助成制度」で負担する仕組みになっています。
産まれてすぐの入院では手続きが間に合わない場合もありますが、一度支払ったのちに申請すれば還付されます。
一度申請すると「乳幼児医療証」が交付されますので、次回からは受診の際に健康保険証と一緒に提示すればOKです。
印鑑
これらを持って、自治体の担当部署で申請をします。申請場所は、市役所や市役所近くの関連施設にあることが多いです。
所得制限がある場合は、課税証明書などが必要な場合がありますが市役所内であればすぐに取得できます。
申請から交付まで2週間~一か月ほどかかります。
事前に必要書類や対象範囲などを市町村のホームページなどで調べておくと便利ですよ。
NICU入院になったわが子の体験談
では、実際にわが子がNICUへと運ばれる至った経緯を書いていきたいと思います。
筆者は低身長(骨盤が狭い恐れがある)のリスクのため、赤ちゃんが大きくなりすぎる前に誘発分娩をしました。
誘発分娩での陣痛促進剤
入院3日目。
陣痛促進剤を使っているので、安全のため赤ちゃんの心拍や子宮の収縮をみるモニターはずっとつけたまま(ナースステーションで監視してくれています)
看護師さんが部屋に入ってきて、
たしかにしばらく前から160~180くらいをいったりきたりしています(赤ちゃんの正常な心拍数は110~160回/1分間といわれています)
筆者は長引く陣痛のため疲れ切ってしまい、頭がぼーっとしていました。
看護師さんやお医者さんが部屋に入ってきて、熱や血圧を測ってくれているのも、どこか遠くから見ている感じでしたが
まだ破水前でしたが、感染症予防のため、抗生剤の入った点滴をされました。
破水
そして、次の日に破水がありました。
赤ちゃんの心拍数は正常に戻ってはいたものの、筆者の発熱は下がらず、体力の限界と判断され、夜中に緊急帝王切開となりました。
破水をすると子宮内に雑菌が入りやすくなるので、早めに赤ちゃんを出してあげないといけません。
一般的にはタイムリミットとして24~72時間と時間を決めている病院が多いです。
出産
帝王切開で出産したとき、わが子は元気に産声を上げました。手術室の外で待機していた夫にもはっきり聞こえるほどの大声でした。
しかしその後、呼吸がうまくできず、「新生児蘇生」がされました(一度死んだわけではありません。産まれた赤ちゃんの1割ほどが呼吸を始めるまでに何らかの助けを必要としています。これを「蘇生する」というそうです)
赤ちゃんが来ない…
深夜の手術だったので、赤ちゃんはナースステーションで預かってくれ、疲れ切っていた筆者はゆっくり眠りました。
次の日の朝、赤ちゃんの名前について夫と相談しながら部屋で待っていると、採血や血圧の測定がありました。
そのうち、夫は出生証明書の発行のために呼ばれていきました。
点滴を替えたりしながら待ちましたが、赤ちゃんはやってきません。
お昼になり、術後初めての食事が出ました。
お昼を食べ終えると、看護師さんとお医者さんが部屋に来ました。なんだか嫌な予感がしました。
予想外の展開に、頭がついていけませんでした。
クリニックでの出産だったので、赤ちゃんはNICUのある近くの大学病院へと運ばれることになりました。
一度も抱いてあげられないまま、なんだか分からない症状で離ればなれになってしまう…ショックで頭が真っ白になりました。
別れの時間
術後になかなか赤ちゃんに会えなかったのは、検査をし、NICUへ入院するかどうか様子を見ていたからのようでした。
NICUへの入院が決まってからは、慌ただしかったです。
やっと赤ちゃんと対面できたと思ったら、準備があるからと30分ほどで連れていかれてしまいました。
それでも、抱っこや授乳はでき、家族三人になった幸せを感じることができました。
もうすぐ大学病院から救急車でのお迎えが来るとのことで、筆者は急いで尿道カテーテルを抜かれ、歩行訓練を始めました。
お腹の傷は痛みましたが、頑張ったおかげでなんとか赤ちゃんの搬送には間に合い、立ち会うことができました。
わが子はおむつ1枚の状態で透明な保育器に入れられ、眠っていました。
心拍などを見るためか胸にいろんなコードが貼りつけられ、保育器には仰々しい器械がたくさんつながっていて、なんだか怖くなりました。
ちゃんと戻ってくるのだろうか…
余計に不安がかき立てられたようで、見送りなんかしなきゃ良かった、知らないうちに連れて行かれたほうが、素直に受け入れられたかもしれないとさえ思いました。
面会
大げさな器械に入れられて救急車で運ばれたわが子でしたが、感染症の疑いがあるというだけなので、抗生剤を点滴しながら検査の値が下がればすぐに退院できる見込みとのことでした。
出産後3日目は土曜日でした。帝王切開の入院は産後7日間。
筆者はまだ入院中でしたが、先生から外出許可が出たので、仕事が休みだった夫と一緒に赤ちゃんのいる病院へと面会に行くことができました。
母乳が出れば持っていけるとのことでしたが、長引いた陣痛で体力を消耗したのか、まだあまり出なかったことが残念でした。
自家用車で近くにある大学病院まで行きました。
大学病院はとても広く、NICUまでどこをどう通ったのか分からないほど距離がありました。
厳重に管理されているため、容易には立ち入ることができず、面会希望のパパやママは扉の手前にあるボタンを押してスタッフを呼び出します。
「○○の母です」
「今開けますね」
入るとすぐにロッカーと手洗い場があります。
手荷物や上着はロッカーへしまい、肘までハンドソープで洗ったあと、アルコール消毒をしました。
待っていると担当の看護師さんがやってきて、赤ちゃんのところまで案内してくれました。
運ばれたときのような保育器ではなく、産院でよくあるようなコットに入っていました。
産後ほとんど会えないままNICUへ入院してしまったので、もちろんお世話も何もできていませんでした。
初産でしたので、NICUの看護師さんたちがお世話の仕方を教えてくれました。
帝王切開の術後なのであまりできなかったのですが、おむつ替えとミルク、授乳の練習などをしました。
退院
次の日の朝、夫の携帯に病院から連絡があり、検査の結果「退院できる」ということでした。
さっそく、前日と同じように夫の運転で大学病院まで迎えに行きました。
入院するときはおむつ1枚で救急車に乗せられて運ばれましたが、退院のときは赤ちゃんの退院用の服を持って自分で迎えに行かなくてはいけません(まだ生後4日目なので、退院といっても出産した病院へ移るだけなのですが)
NICUに入ると、お医者さんのデスクへと呼ばれました。
どんな治療をしたか、また検査の結果(感染症の値がちゃんと下がっていること)の説明を受けました。
持ってきた服に着替えさせ、チャイルドシートに乗せて産院へと戻りました。
退院の日は日曜で病院の窓口は閉まっており、後日の精算となりました。
まとめ
妊娠中も何も問題がなく、無事出産できたのに赤ちゃんだけしばらくNICUへ入院になったという話はよく聞かれます。
それは決してママのせいではありません。妊娠中の過ごし方が悪かったとか、分娩時の頑張りが足りなかったとか、そんなことはありません。
新生児感染症や黄疸などの理由から、しばらく赤ちゃんがNICUへ入院になるケースのほとんどは原因が分かりません。
筆者の場合は、長引く陣痛によって母子ともに疲れてしまったのだろうと言われました。が、はっきりはしていません。
大人でも風邪を引きやすい、頭痛になりやすい人がいます。同じように、新生児感染症になってしまった、黄疸が出てしまった、それは赤ちゃんの「個性」と同じだと筆者は思います。
何が悪かったのか。私のせいなのだろうか…などと自分を責めて悩んでしまうより、ママは赤ちゃんがくれた時間だと思ってゆっくり身体を休めることも大切だと思います。