ばたこママ
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ママテク(@mamateku)ライターのばたこママです。
- 2つの言葉を話せる子どもにしたい
- 国際化社会だから、バイリンガルだったら将来有利になるかも?
グローバル化によって、子どもに日本語以外の第二言語を教えているご家庭が多くなってきました。
でも、バイリンガル教育をしている家庭の実情ってなかなか知る機会がないのでは?
今回は私が行っているバイリンガル教育(韓国語・日本語)についてご紹介します。
特に今回はバイリンガル教育の中でも「聞く・話す」能力についてスポットを当ててみました。
さらに、両親どちらも日本人の場合、バイリンガル教育をする上で気をつけたほうがいいことについても我が家の状況からいろいろと考えてみました。
今後バイリンガル教育を考えていらっしゃる方、またはバイリンガル教育中の方はあくまでも一例としてみていただければ幸いです。
パッと読むための目次
母語を大事にする
我が家の場合は私と夫の国籍が違うため、ある意味仕方なくバイリンガル教育を始めなければなりませんでした。
それまでは
妊娠してから、私と同じような境遇であるバイリンガル教育の先輩ママたちに色々聞いてみました。
先輩ママ達の教育方針は人によってさまざまで、
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- 韓国語教育を優先し日本語は教えていない
- 韓国語教育を優先し、子どもが小学校になってから日本語教育をスタートした
- 日本語も韓国語も同時に教えている
しかし、先輩ママさんたちの共通した考え方が「母語をしっかりと教育する」ということだったのです。
母語というのは、幼少期より周囲の人が話すのを聞いて自然に覚えた言葉です。
母語はその人が生きていく中で根本となる言語となり、文化的にもその言語の影響を色濃く受けます。
たとえば、日本に生まれた場合は日本語が母語です。
日本の言葉・文化の影響を受けながら人は成長し、物事を考えるときは日本語をベースに考えます。
母語に似た言葉に「母国語」がありますよね。
母国語とは生まれ育ったその国で使われている言葉のことです。簡単に言い換えるとその国の公用語です。
日本の場合、日本語だけが共通語ですが、世界を見てみると複数の公用語を持つ国が多いことに気が付きます。
たとえば、カナダの場合は英語とフランス語が公用語、つまり母国語です。
なぜなら「セミリンガル」になる可能性もあるから気をつけなきゃねとも。
実はそこで初めて「セミリンガル」という言葉を知ったのです。
バイリンガル教育の弊害「セミリンガル」って?
セミリンガルって何なのでしょうか?
セミリンガルとはダブルリミテッドとも言われますが、『二言語の環境で育ち、その両言語において年齢に応じたレベルに達していない者はセミリンガルと呼ばれる。』と定義されています。
つまりどちらの言語も中途半端でネイティブレベルに達していない状態です。
本人の母語も年相応の発達がないため、語彙力不足や言葉の理解不足から自分の気持ちを表現したくとも出来ない問題が発生します。
周りとのコミュニケーションでさえもうまく図れずに日常生活に支障をきたす場合だってありえます。
ここでセミリンガルに陥っている帰国子女の中学生が書いたとされる文章をご紹介します。
一時期twitterで話題になりましたが、原文がすでに削除されているため真偽のほどは定かではありません。
ですが、「セミリンガルとは何か?」の参考になるかと思い掲載したいと思います。
母語を持たない苦しみを切々と訴えていて心が痛むばかりです。
しかし、中学生が書いたというにはひらがなが多く、すこし幼い印象の文だと思いませんか?
母語は大事な意思疎通手段なので日常生活には絶対必要です。
またのちのち子どもが学校に行くようになれば、海外転勤がない限り学校で使われる言語はだいたい母語になる場合が多いと思います。
実は勉強に使われる言葉(学習言語)は普段の日常会話ではあまり馴染みのない用語も多く、学ばなければ使う機会のない言葉も多いのです。
生活で使われている母語がちゃんと理解出来なければ、学習言語について説明を受けても理解ができず、学習そのものが難しくなるのです。
神経学者であるエリック・レネバーグによると母語取得の臨界期は12~13歳頃までと言われています。
つまりこの時期までに母語が確立していることが理想的なのに、母語をもたないセミリンガルになってしまうと、その後いくら言葉を習得したくても学習・理解することができない状態に陥るのです。
バイリンガル育児を行うにあたり、どちらの言葉も中途半端になる「セミリンガル」の可能性も常に考えていなければなりませんね。
我が家の方針の決定
我が家の場合、まず夫と言語教育についてよく話し合いました。
そして決まったのが以下のことです。
- 母語は韓国語、第二言語が日本語
- パパは韓国語とママは日本語での話しかけをする
- パパとママが会話するときは日本語。つまり家庭内では日本語を使うことを徹底する
- 家の外では韓国語。ただしママと子どもが話をするときは外でも日本語
- 長期的な目標:韓国語は母語なのでネイティブレベルに、日本語は小学校程度の読み書きが理解できるレベルまで。
我が家の母語は韓国語ですので、将来大人になった時に韓国語が年齢相応のネイティブレベルであることが大前提。
なおかつ日本語は小学校まではしっかりと教育し、あとは本人のやる気に任せようということになったのです。
我が子誕生~2歳まで:父母別々の言語で話しかけ開始
娘が生まれて2歳頃までにしていたことは次のとおりです。
- ママの話しかけ、家庭内の共通語:日本語
- パパの話しかけ:韓国語
- 寝る前に絵本の読み聞かせ:パパ韓国語、ママ日本語
我が子が最初に話したのが11か月。「アッパ(韓国語のパパの意味)」でした。
はじめの言葉が韓国語だったので、パパは飛び上がるくらい大喜び!母としてはちょっとさびしいような複雑な心境でしたが…
圧倒的に日本語の方が多いのに、韓国語が先に出てくるというのは不思議な感じですね。
バイリンガルの子どもは言葉が遅くなる傾向だと本で読みましたが、うちの子の場合は言語の遅さを感じなかったです。
普段はママと二人きりのことが多いので、それからは日本語がよく出てくるようになりました。
1歳を過ぎてから「まんま」や「やー(いやだ)」など爆発的に言葉が増えますが、同時に夫が韓国語で話す言葉にもしっかり意思表示するようになります。
ただし、返答時は韓国語ではなく「はーい」や「やー」などの日本語が多かったです。
さらにうちの娘の場合、物をとってほしいなどの要求があるときには、母の手をひっぱって対象物に持っていく「クレーン現象」がよく見られました。
たとえば近くのおもちゃを取ってもらいたい場合、私の手をそのおもちゃの上まで引っ張っていき、私におもちゃを取らせようとする行動です。
実はこのクレーン行動は自閉症児によく見られる行動のひとつです。
そのため娘の発達上の問題があるのではないかと心配しましたが、発語が増えてくると同時に徐々に減っていきました。
今思えば、言葉がうまく出ないためにクレーン現象で一生懸命伝えようとしていていたのかもしれませんね。
このころから寝る前にパパが韓国語の、私が日本語の絵本の読み聞かせをしていました。
ただ、パパは仕事で夜遅いことが多く、ほとんどが日本語の読み聞かせになっていました。
2歳~保育園入学まで:日本語しか出てこなくなった!
- ママの話しかけ、家庭内の共通語:日本語
- パパの話しかけ:韓国語
- 寝る前に絵本の読み聞かせ:パパ韓国語、ママ日本語
- 幼児教室に週2回通う:韓国語
この頃になるとママが日本語、パパが韓国語の話しかけを続けつつ、週2回ほど幼児教室に通うようになりました。
というのも、日常生活での日本語の比重が多くなってしまい、このままでは韓国社会になじめなくなるのでは?と不安になったからです。
実は、この頃は韓国語で尋ねてもすべて日本語で答えるようになっていました。
たとえばパパが韓国語で「パプ モゴッソ?(ご飯食べた?)」と聞いても「ごはん、たべた~」と日本語で返したり、「パパの言葉で話してごらん?」といっても「やだー」と逃げるようになってしまったのです。
韓国語で話しかけても日本語で返ってくるので、韓国語が全く理解できていないわけじゃないようだったのですが…
そんなわけで幼児教室に通い始めたわけですが、幼児教室は韓国人のママ、子どもたちと一緒でした。
子ども同士韓国語を使いながら遊べば自然と韓国語が増えるのでは?と期待したのです。
予想は大正解!お友達が増えたことで韓国語の発語がグーンと増えました。
特に驚いたのが、独り言でも韓国語を言うことになったことです。
たとえば、お人形遊びをしているとき以前だったら「かわいいね~」などと日本語で話しかけていたのに、幼児教室に通うようになったら「ア~、イェッポ~!(あー、かわいい)」と韓国語にシフトするようになったのです!
親からの言葉の影響は大きいのは知っていましたが、同世代のお友達の影響って絶大なんだと実感。
言葉の面だけでなく、他の子のおもちゃの使い方をじーっと見て真似したりするのも早く、いい刺激になったと思います。
保育園入学~小学校入学前まで:2カ国語ミックスでルー大柴状態!
- ママの話しかけ、家庭内の共通語:日本語
- パパの話しかけ:韓国語
- 寝る前の絵本の読み聞かせ:パパ韓国語、ママ日本語
- 現地保育園に平日通う(9時から16時まで):韓国語
3歳より現地の保育園に入学しました。
幼児教室の様子を見ても韓国語での会話や意思表示もしっかりしているのでそれほど心配はしていなかったのですが…2歳後半ぐらいから新たな問題にぶつかります。
多分、「ルー大柴状態」といえば、想像しやすいのではないでしょうか?
韓国語も日本語もそれなりに話せるようになってきたので、2カ国語がミックスしてしまうようになっちゃったんです!
2歳後半、当時の娘の話し方はこんな感じでした。
- 「おそとにね、コヤンイ(猫)がイッソッソ(居た)」
- 「ヌニ(雪が)が、ネリョヨ(降る)」
このパターンの場合、本人に徹底して言い聞かせたことは「2つの言葉は絶対ミックスしない」ということです。
2つの言語をミックスしたまま放置するとどちらも中途半端になります。
もし話したいけどわからない場合は話す前に尋ねるよういいました。
2番の場合、韓国語で話すときに日本語の文法の影響を受けてしまったパターンです。
実は韓国語と日本語は文法の並びはほぼ同じで、S(主語)-O(目的語)-V(動詞)形式。
比較言語学上、日本語も韓国語もアルタイ諸語という分類に入り、言語の祖先は同じなのではないかといわれています。
本来、韓国語であれば「ヌニ ネリョヨ(雪が 降る)」でよいところを、日本語の接続詞「が」が入ってしまっています。
実は韓国語の接続詞の中には日本語の接続詞「が」と同じ発音、同じ意味を持つものがあり、娘も話しながら混乱してしまったのでしょうね。
この場合、そのつど正しい文法を指摘し『正しい韓国語は「ヌニ ネリョヨ」だよ』というようにしました。
2~3歳ぐらいまではわりと素直に指摘に応じてくれ、間違ったらそのつど直すはかなり有効でした。
2カ国語ミックス状態も4歳ぐらいまでにほぼおさまり、5歳以降からは場の雰囲気に合わせて日本語のときは日本語、韓国語のときは韓国語を完璧に使い分けるようになります。
現在(小学二年生)の娘の聞く・話す能力は?
小学2年生の娘いわく「日本語と韓国語は頭の中のおんなじ場所にある」そう。
「日本語を聞けば日本語が出るし、韓国語を聞けば韓国語が自然に出る」ので現在は聞く・話す能力に関してはどっちが難しいとかはまったくないようです。
韓国の学校の成績も普通であり、韓国語のテレビなどの聞き取りに問題なし。
普段物事を考えるのはすべて韓国語のようです(たとえ日本にいるときでも一人で考え事のときは韓国語だそう)
日本語は、会話のなかでときどき接続詞を間違えますが、私や他の日本人との会話には問題なし。
日本語のニュースの聞き取りは難しいようですが、日本語のアニメなどは完璧に内容を把握しています。
日本帰国の際、日本の小学校に何週間か体験入学をしていますが、漢字が難しいということを除いて普通に授業についていっています。
ちなみに大人になってから韓国語を勉強し、現在も習得中の私の場合、頭の中には日本語スイッチ、韓国語スイッチがあります。
韓国語を話すときは韓国語スイッチを押さなければならず(つまり頭の中を完全に切り替えなければならない)、通訳のように同時に日本語も韓国語も話すのは集中力と気力をかなり消耗します。
娘に「日本語と韓国語のスイッチある?」と聞いたところ「そんなものはない」と返されてしまいました。
言語が同列に並んでいるバイリンガルって面白い!と思った次第です。
このように親が環境を整えてうまく誘導してあげれば、バイリンガル教育の「話す・聞く」に関しては比較的スムーズに進むと思います。
ただ、問題なのがバイリンガルの読み書きの能力。
読み書きの能力はいわば反復運動。親が意識的に教育しなければ身につかないため、現在とっても悪戦苦闘しています。
こちらについては後日、別の機会にご紹介したいと思います。
幼児期の「聞く・話す」バイリンガル能力、日本でどう行う?我が家の例から考えると
我が家の場合は父母の言語がもともと日本語と韓国語と分かれていました。
では、父母どちらとも日本語の話者の場合、子どもの聞く・話すバイリンガル能力をどのように伸ばしてあげればよいのでしょうか?
我が家の例から考えてみました。
第二言語の時間を決めて、その時間は第二言語しか使わない
ご家庭の状況に合わせて、第二言語しか使わない時間を設定するのが一番いいのではないかと思います。
その時間は聞く言葉も話す言葉も第二言語で通します。
たとえばですが、英語の場合だったら「毎日おやつを食べたら、英語を1時間する」と決めてしまって、その時間は一緒に英語のDVDを見たりするようにしてはどうでしょうか?
もちろん、英会話教室に通うのもいい方法だと思います。
おすすめしたいのが、できればパパ、ママも一緒に英語を話して会話を楽しむことです。
DVDを見るだけだと一方通行のインプットなので、頭に残らない可能性があります(うちの娘がそうでした)
実際に使ってアウトプットするからこそ覚えていくので、よかったら試してみてくださいね。
両方の言語で絵本の読み聞かせをする
寝る前の読み聞かせは母語を育てる上でも、第二言語を育てる上でも役に立ちそうです。
バイリンガル教育をする上で、母語をしっかりと確立させてあげることは重要であることはお話ししたとおりです。
絵本の読み聞かせのとき、こんなひと工夫はどうでしょうか?
たとえば、日本語でも第二言語でも発売されている絵本を手に入れて、その本を両方の言葉で読んであげることです。
そうすることで、同じ意味なのに表現の違いや使い方がわかるようになります。我が家ではたとえばこんな絵本を日本語版、韓国語版両方手に入れて読んでいました。
- エリックカール:はらぺこあおむし・パパ、お月さまとって!
- 中川李枝子:ぐりとぐらシリーズ
- ウクライナ民話:てぶくろ
- イソップ童話やグリム童話など
これらご紹介した絵本は英語版もあります。
英語CDや動画が付属していますので、英語のバイリンガル教育をされるときに役立ちそうですね。
ちなみに「パパ、お月さまとって!」は我が家のパパの絵本の読み聞かせの定番で、娘もさんざんパパに読み聞かせをねだった本のひとつですよ。
2つの言語をミックスしたままにしない
前述したとおり、我が家の娘も「ルー大柴状態」で2つの言語をミックスして話している時期がありました。
しかしこれは、どちらの言語も中途半端になる可能性が高く、ゆくゆくは「セミリンガル」を引き起こしかねないので絶対にしないように言い聞かせて下さい。
もし、言い回しや単語がわからない場合は一緒に調べたり、正しい言い方を指摘してあげて下さい。
そして話すときは、日本語の場合は日本語で、第二言語のときは第二言語を徹底してくださいね。
母語である日本語教育をしっかり行う
英語と日本語のバイリンガルにしたいがために、一日中英語のDVDなどの教材をのみを見せたり聞かせ続けたりすることは有効ではないと思います。
それよりもパパ・ママが子どもとしっかり関わって日本語能力を伸ばしてあげること、人とのかかわり合いから人格を形成することのほうがもっと重要です。
そもそも第二言語は本人のやる気さえあれば大人になってからでも十分身につけられますし、言語はあくまでの本人を表現する手段・道具に過ぎません。
バイリンガル自体に価値があるのではなく、本人の存在に価値があって、その人がたまたまバイリンガルならラッキー程度のオマケ的なものだと思うのです。
何と言っても母語の教育は重要です。
母語が確立していなければ第二言語も頭に入りませんので、日本語教育を優先してくださいね。
バイリンガル教育は両親の長期プロジェクト!
いかがでしたか?
参考になるか少し心配ですが、我が家ではこんな感じでバイリンガル教育をすすめている最中です。
バイリンガル教育はパパ・ママが協力して進める長期プロジェクト。我が家も結果が出るまではまだまだと言った感じですよ。
バイリンガル教育をこれから目指す方は、ぜひいろいろなところから情報を集めてみてください。
教育内容はご家庭の様子や教育方針によっても全く違うと思いますので、参考例がたくさんあったほうがいいかもしれませんね。
我が家は今、読み書きでバイリンガルの壁にぶつかっている最中です。
試行錯誤ばかりの毎日ですが、今後読み書きでもほんとうの意味でのバイリンガルになれるように親子共々マイペースに進んでいきたいと思います。