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ママテク(@mamateku)ライターのののかママです。
働くママが増えていく中、同時に増えているのがマタニティ・ハラスメントです。
ニュースや雑誌、ネットなどでマタハラの話を耳にするたびに、同じ働くママとしてとても悲しい気持ちになるとともに、人事関係の仕事に携わっているものとしては、社内体制を整えられないその会社の担当者や上層部の「無理解」や企業自体の「古い体質」には他所の企業ながら、少しいら立ちを覚えてしまうこともしばしばです。
今マタハラに直面していらっしゃる人も、今の会社だとマタハラに合うだろうなと思うプレママたちもたくさんいらっしゃると思います。
また、もしかしたら、現在の状態がマタハラであるとは気づいていない方もいらっしゃるかもしれません。
今回はマタハラにあってしまう背景や、対処法、身を守るための法律について少し勉強してみようと思います。
パッと読むための目次
マタハラ(マタニティ・ハラスメント)とは…?
それでは、マタハラ(マタニティ・ハラスメント)とはいったいどのようなことなのでしょうか?
言葉の意味だけを見てみると、マタニティは妊婦さん、ハラスメントとは嫌がらせです。
「妊婦さんに対する嫌がらせ」ということになりますが、よくよく調べてみるとハラスメントには明確な定義はないようです。
つまりは、パワー・ハラスメントやセクシャル・ハラスメントと同様に、受け取る側が「嫌がらせ」であると認識した時点で、マタニティ・ハラスメントが成立するということになりますね。
何をしたらいけない、という定義があれば対処のしようもあるのでしょうけれど、明確なマタハラの定義がないため、とても難しいことであるように思います。
「受け取る側の気持ち」というと正直少し曖昧な気がするので、マタハラの過去の事例を調べてみました。
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過去の判例から行くと、マタニティ・ハラスメントとして認められた事例の一部は下記の通りです。
- 妊娠を理由に退職を迫られる
- 中絶の勧告を受ける
- 妊娠に対して嫌味を言われる
- 雇用する条件として、妊娠しないことを含められる
- 産休を与えられない
- 妊娠や出産を理由に不当な降格を受ける
- 妊娠や出産が給与や賞与の裁定に影響する
転職を経験した友人や知人に理由を聞くと、「妊娠したら働ける会社じゃないから辞めた」という話を聞くことが実際にあります。
具体的に話を聞いていると、会社や上司から「妊娠したら働くことは難しいのではないか」だとか、「女性は妊娠したら家に入るべき」という言葉を上司から日常的に聞かされていることもとても多いです。
しかし上記の判例から言うならば、そういった言動は、受け取る側が「嫌だ」と感じてしまうならばマタニティ・ハラスメントに該当するということになります。
マタハラ(マタニティ・ハラスメント)が横行する理由
ハラスメントは、嫌がらせ。子どもの世界でよくある「いじめ」みたいなものですよね。
受け取る側の気持ちでも変わるものでもあるようですが、では、マタハラはどのように起こるのでしょうか。
マタハラが起こる理由を考えてみたいと思います。
(1)慣習的なステレオタイプが一掃できていない
- 女性は妊娠したら家に入るべき
- 子どもが出来たら、もう少し楽な仕事を探したほうが良いよ
等々、昔からよく聞く言葉だなぁと思います。
そして、これらの言葉、判例から言えばマタハラになる可能性がある言葉ですよね。
昔は男性が仕事をし、女性が家を守るのが一般的でした。
そして、その「女性が家庭を守るもの」「女性が家事や子育てをするもの」という女性に対するステレオタイプや、古い認識が根底にある人はたくさんいるように思います。
しかし、そういった言葉を投げかけられても「そうかもね」と素直に受け取っている場合には、マタニティ・ハラスメントは成立していません。
私の友人や知人たちのように、その言葉を信じて結婚と同時に仕事を辞めて、妊娠後も働ける職場を探すということをした場合にはマタハラではないということになります。
とはいえ、受け取る側の気持ちが、「もっと働きたいのに…」と思っていた場合にはマタニティ・ハラスメントとなり得るのです。
現在は女性も活躍する時代です。
男性と肩を並べて仕事をしている女性もたくさんいる中で、容易に古い考えの言葉を並べてしまうとそこにマタハラが成立することになります。
古い考えや日本にある昔からの慣例を根底に容易な言葉を投げかけてしまうことが、マタハラが横行している原因の一つであるといわれています。
(2)嫉妬や積み重なる負担が不満に変わる
最近よく聞くのが女性ばかりの職場でのマタハラです。
妊娠し悪阻で数か月休んでいた知人が職場に戻ると、「あれ?辞めたんじゃないの?」と年上の同僚から言われたとか、「子ども生まれたら休み増えるから困るね」と言われた、ということを聞いたことがあります。
同じ女性であるはずなのに、嫉妬かな?と相談を受けたことがあるのですが、こういうことって、結構あるように思います。
とは言え、その嫌味が「嫉妬」である、と受け取ると少し語弊もあるかもしれません。
もちろん、嫉妬の場合もあるかとは思うのですが、人事職でたくさんの女性社員と接してきた経験からいうと未婚の女性社員こそが自分のキャリアに不安を感じている場合も多いです。
それは未婚であるゆえに、結婚・妊娠がしばらくないだろうという理由で、産休中の社員の代わりをさせられる場合がとても多いからです。
- 妊娠中の社員の代わりに仕事を引き受け残業する
- 育休中の社員の代わりに部署異動を命じられる
- 子育て中の社員の突然の休みに対応しなければいけない
「未婚だから時間が自由でしょ」「仕事が変わっても大丈夫でしょ」という会社からの指示や期待を受けているのが未婚の女性社員たちであるように思います。
女性が担当していたポジションはほかの女性にスライドさせる会社がとても多いですから、そういった未婚女性社員の負担が不満になり、嫌味につながってしまうこともとても多いです。
もちろん、嫉妬である場合もあるかもしれないのですが、そういった妊娠中や育児中の社員をカバーしなければいけない立場の社員たちの不満を、会社の上層部がきちんとヒアリングし、適切な対処を行えていないことが女性社員からのマタハラの原因であるようにも思います。
(3)前例がないから受け入れられない
マタハラの被害にあっているのは実は男性も多いです。
現在は男性も育児休暇を取ることが出来る時代でもありますが、それをしてしまうと嫌味を言われたり、出世に影響がでたりすることもとても多いようです。
昔は当たり前のように、男性は仕事を優先させるべきという風習が根付いていましたし、企業戦士ともいわれるように身を粉にして働いていました。
ところがいまや、イクメンと言われるパパたちも増え、子どもの行事のために休む男性も多いですし、子どもが熱を出した…と保育園に迎えに行くために急いで帰る男性社員も増えてきています。
そのような時代の変化から言えば、男性も育休を取ることはとてもいいことのように思えますが、実際に「経験したことがないから」受け入れられない、規定が備わっていない企業がとても多いように思います。
また、小さな会社では、今まで女性を雇ったことがない…という企業もありますよね。
そんな中、ある日突然初めて雇った女性社員から妊娠を告げられると、どう対処したらよいかわからないという会社も多いように思います。
そんな状態であれば労働基準法通りに対処すればよいのでしょうけれど、その社員の代わりがタイミングよく雇えるとは限らない。
そういったことから、「妊娠するなら雇えない」とする会社もあるようです。
そして前例がない、知識がない、ということから妊娠中の社員のパフォーマンスが低下している、育休を取って働いていない、ということを給与や賞与の査定に反映させてしまっている会社も多いです。
本当に悪阻などで働けず、働いていない分を給与から減給されるのであればやむを得ないことかと思いますが、妊娠している社員、育休を請求する社員は使いものにならないというような誤った認識をしている企業もとても多いように思います。
(4)妊娠や出産への理解不足
妊娠や出産をしてみた人と、実際に経験していない人の間には悲しいながら認識に大きな隔たりがあるように思います。
私自身も人事という立場で数多くの妊娠した社員とのやり取りが発生していたものの、実際に自分が妊娠してみるまでは「妊娠しながら働くことの大変さ」や「子育てをしながら働くこと」への理解は乏しく、フォローはいわゆる「教科書通り」というか、簡単に言えば「とても薄かった」ように思います。
実際に自分が妊娠してみて、妊娠したら欲しかった情報だったり、フォローだったりを理解したわけですが、それを理解できたのは自分が妊娠したからであって、していなければ妊婦さんとして働くことの本当の大変さも気づくこともなかったように思うのです。
妊娠・出産と一言で言ってもその内容は人それぞれで違いますよね。
悪阻が全くない人もいれば悪阻で空気を吸うことさえつらいと思う人もいる、体調が万全な妊婦さんもいればそうでない妊婦さんもいるわけで、一人一人のことを理解するのはとても難しいことです。
そして、それは妊婦さんを取り巻く上司だったり、同僚一人一人だったりにも、同じことがいえると思います。
妊娠に対する知識や、その人の体調に対する理解度が乏しいために、どう対応してよいかわからない。
一生懸命フォローしているつもりでも、実際に妊婦さんが欲しいフォローや言葉からは少しずれてしまったり、悪意はなくても結果として妊婦さんを傷つけてしまう、負担を強要してしまう、ということも多くあると思います。
こうやってマタハラの発生する理由を考えてみると大きく分けて悪意のあるものと、悪意のないものがあるように思います。
悪意のあるものは別として、自分の行為が他人を傷つけていることに気づかない場合もとても多いので厄介です。
マタハラにあってしまったときの対処方法
それでは実際にマタハラにあってしまった場合、どのような対処法を取れば良いのでしょうか。
①妊娠に関する法律を学ぼう
自分や赤ちゃんを守るため、妊娠に関する法律をきちんと学んでおきましょう。
会社から何か言われたとしても、法令と反することであればNOという権利がありますし会社が違法となります。
必要な知識は事前に備えておきましょう。
- 男女雇用機会均等法第9条「妊娠・出産を理由とする不利益取り扱いの禁止」
- 労働基準法第65条第3項「妊婦の軽易業務転換」
- 労働基準法第66条第2・3項「妊産婦の時間外労働・休日労働・深夜業の制限」
- 労働基準法第66条第1項「妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限」
など
母は賢くあれ、とよく言われますが、自分や赤ちゃんに関わる法令くらいは最低限でも知識として勉強しておいたほうが良いと思います。
妊婦さんが今までいなかった会社などでは担当者の知識が少ないことも大いにありますので、妊婦さん自身が法律を教えてあげることが出来れば回避できるマタハラも多いように思います。
②聞き流す
一般的に見て、小さな嫌味程度のことであればたとえ心にグサッときても、聞き流し、忘れるようにする方がほとんどではないかと思います。
これはマタハラであっても、そうでない場合も同じことかと思います。
どこの企業においても一人や二人、嫌味っぽい人はいるのも事実で、その嫌味の一つ一つを真に受けてイライラするよりかは、「私は女優、いじめられている演技をしているだけ」と割り切って、職場を離れたらすっきり忘れてしまうほうが心のストレスは軽減できます。
また、相手を人ではなくものとして見るようにすることで、ぶつかれば痛いけれども日常的にかかわることを最小限に留めればストレスが回避できる場合もありますよね。
嫌味程度のことで、お腹の赤ちゃんやお母さんの生活に影響がない程度のことであれば、右から左に流してしまう術を普段から学んでおくほうが後々身を守ります。
「鈍感力」ということを最近よく聞きますが、他人の悪意に対しては鈍感であるほうが得ですよね。
お母さんが小さな嫌味にイライラして心身ともに疲れ切ってしまうくらいであれば、忘れて気にしないことが一番いいような気がします。
③社内に相談できる人を作っておく
これは妊娠前からの人間関係に大きく影響することであるようにも思いますが、普段から社内に相談できる人を作っておくととても心強いです。
その相談できる人は、会社でいわゆる「お局様」と言われているような立ち位置の人や、人事職や女性の部長など、普段から上層部に対しての意見をきちんと言えるような人であればとてもラッキーだと思います。
普段から仕事のことはもちろん、プライベートのことでも相談できるような関係性を持っておくと、ほかの社員からの嫌味であったり、場合によってはマタハラであったりに対しても相談することが出来るのでとても心強いです。
ただし、女性の場合は女性に厳しい場合も多いので、普段から挨拶をきちんとする、仕事をしっかりしていることをアピールしておくなども必要かもしれません。
また、残業一つにしても、「妊娠しているから出来ない、仕方ないでしょ?」という態度よりも、「妊娠しているから出来なくて申し訳ない」といったような態度のほうが、周りへの印象も大きく違います。
妊娠中で残業できない、体に負担をかけられない、「やむを得ない」状態であったとしても、自分の仕事を変わってくれている人がいるということは常に忘れてはダメです。
謙虚さと感謝の気持ちが持てる人こそ味方がとても多く、結果として自分や赤ちゃんを守ります。
④重度の嫌がらせの場合は必ずメモをしておく
嫌味を言われるだとか、軽くよそよそしくなられる位ならば、その理由が妊娠であってもそうでなくても完全にないということはないのかなと思いますが、妊娠を理由に退職を勧告された場合や、度を越えた言動、妊婦なのにわざと力仕事をさせるなど、実際の行動として嫌がらせが表面化してきてしまった場合には、いつ、どこで、誰にどのような嫌がらせを受けたのか、必ずメモをしておきましょう。
現在の労働法では、マタハラは禁止されています。
会社と戦おうと思うのであれば、それらのマタハラ行為の一つ一つはとても重要な証拠となります。
メールや文書等が残っている場合にも、すべて証拠として控えておくことを忘れずにしておきましょう。
また、会社と戦わずとも、妊娠が理由で退職を余儀なくされた場合にも、退職理由がマタハラであったことを証明できれば失業保険などの受給にも影響します。
⑤専門の窓口に相談する・会社の理解を深める
もしも、会社の理解を深めたいという気持ちがある場合や、不当な解雇や退職勧奨に対して戦いたいという気持ちがあるのであれば、専門の窓口や弁護士さんに相談することも方法としてはあると思います。
法令が変わっていく・社会の風潮が変わっていく中で、企業の在り方も変わっていく必要はありますよね。
「うちの会社は理解がないから」「古い体質だから」とあきらめる前に、会社に変わってもらうため、今後自分たちが働きやすい環境を作ることを目的として専門家に相談し働きかけることも本来であれば必要なことであるかもしれません。
しかし、会社がそれに応じない場合にはその戦うという行為で母体自体が疲れてしまい、そのストレスから赤ちゃんへの影響もないとは言い切れないため、注意も必要です。
どんな状態であっても母体や赤ちゃんへの影響を一番に考え、適切だと思う方法を選んで下さい。
まとめ
個人的に、マタハラについて考えてみると、女性の社会進出の速度に対して、女性を保護する法律の整備や各々の企業での浸透速度は大幅に遅れていることが要因であるように思います。
妊娠というおめでたいことの裏側で、それが原因で泣く人を防ぐために、妊婦さんはもちろん妊婦さんを取り巻く人たちが妊娠や出産についてしっかりと勉強し、支えあっていく世の中になってほしいと思います。